トルーマン・カポーティについてのあれこれ。

実在の人物でも架空のキャラでも、この役はあの役者に…、と考えたキャスティングが、小説&実話→映画では稀に実現する。誰も褒めてくれないけど…。 
パチンコ台で、別の台で打ちながら、「2つ横の台が出そうだぞ、出そうだぞ」とガン見し続け、出始めると「ほらー、やっぱり出たろーが」って自分に拍手を送るような。そんな淡くはかない勝利の感覚。 
そこで、オトナの事情により随分前の作品だけれど、『カポーティ』について書く。

『セント・オブ・ウーマン』であまりのカッコ悪さが印象に残ったスクールボーイを演じたフィリップ・シーモア・ホフマン。そのキャラを武器に、イタ電男や主人公に片思い中のゲイといった、なんとも忘れ難いキャラを演じ、『リプリー』『マグノリア』辺りから俄然、演技力を発揮し始める。

 

ちょっと話がそれるけど『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』 のアル・パチーノが素晴らし過ぎて、最後の演説シーンを聞きたくなったのでしばし中断。

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すみません。クライマックスシーンにはホフマン出てますから。

映画『カポーティ』に戻る。ストーリーはカポーティが『冷血』の取材と執筆に臨むエピソードが中心である。たまたま当日は映写状態があまりに悪く、劇場サイドに報告しに行ったりして観られないシーンも長く集中できなかった。ストーリーが分断されてしまったので後に再度鑑賞しましたよ!
ホフマンはカポーティそのものだと高く評価される。 

この映画は、ジェラルド・クラークによるカポーティ公認の伝記がベースだというが、カポーティの人柄を知りたい人には、1997年に出版されたジョージ・プリンプトンのオーラル・バイオグラフィ(証言による伝記)も勧めたい。 
作家やハリウッドの映画人、親戚や郷里の知人etc…。敵、味方の賞賛やこき下ろし証言の構成で彼の生涯が浮かび上がってくる。 

しかし、プリンプトンだからこそのアプローチは、取材から真実に辿り着くことは不可能だ、という彼の“前向きな”諦念も感じられる。

そもそも、カポーティカンザスの惨殺事件をノンフィクション・ノヴェルのスタイルで書いたのは、ルポルタージュの限界を知っていたからだろう。だから、小説のスタイルを取らざるを得なかった。加害者の一人に友情すら感じ始めていたカポーティはこの作品を発表後は短編を数本執筆しただけで長編を書くことはできなかった。この映画から、その当時の彼の心理が、予想以上に不安定だったとわかる。 


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シーモア・ホフマンはアカデミー主演男優賞を受賞するも、その後急死してしまう。

カポーティカンザス州で起きた一家惨殺事件を5年余りの歳月をかけ取材。犯人にもインタビューし彼らが処刑されるまでを見届け執筆した『冷血』はジャーナリストならば誰もが焦がれたノンフィクション・ノヴェルであると共に“ニュー・ジャーナリズム”というカテゴリーを生むきっかけとなった。

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1967年、『冷血』は『熱いトタン屋根の猫』(1958)『ミスター・グッドバーを探して』(1977)のリチャード・ブルックスが監督し映画化。音楽はクインシー・ジョーンズ
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ジョージ・プリンプトンカポーティの生涯を書いた原作の映画『インフェイマス』も製作されている。この作品のカポーティは“ハリポタ”のドビーの声で知られるトビー・ジョーンズ

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プリンプトンの著作はこちら。

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美少年が好きだったカポーティが天国で喜びそうな作品は自身の思春期を描いた「グラスハープ」。主演は若き日のエドワード・ファーロングだからね。

 

グラスハープ~草の竪琴~ [DVD]

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原作はこちら。

 

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エドワード・ファーロング出世作は現在公開中の“正統的な3作目”『ターミネーター/ニューフェイト』の前作に当たる『ターミネーター2』のジョン・コナー役。『ターミネーター/ニューフェイト』でも出演してましたけど、一瞬でした。

 

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出典:TriStar Pictures/Photofest/ゲッティイメージズ